大きくする 標準 小さくする

NEW ZEALANDでのラグビー生活

2006/10/30

ニュージーランドにラグビー留学した後藤のレポートです。
4回分をまとめて掲載します。
-----------------------------------------------------------------

2005年9月2日、僕はNZに降り立った。
季節は春といいながらもまだまだ寒く、Tシャツにハーフパンツではさすがに空港の外には出れなかったのを覚えている。
最初にNZのラグビーにふれたのはその日の夜、レイチェルの家族とワイカトスタジアムで観た、
NPC(NZ国内選手権)のウェリントンVSワイカトの試合だった。
その試合にはその後チームメイトとなるMark・RanbyやStehen・Donaldもワイカト代表として出場しており
ウェリントンにはAll BlacksのCTBであるNonuもいたが、想像していたよりもカラダはそんなに大きくなく
試合を見ながら、「これぐらいだったら日本人選手にもいるな」なんて思いながら試合を見ていた。
しかし、日本のラグビーと決定的に違うこと、それはブレイクダウン周辺の激しさと1対1での強さ。
これは2月から始まったラグビーシーズン開幕で嫌というほど思い知らされた。
9月から10月までワイカト大学の語学学校に通い、その後10月から2月までコロマンデル半島にある
コロマンデル・タウンという小さな町で過ごした。ここで地元のチームに所属しシーズンインまで体を動かした。
シーズン前(夏期間)の練習といえば、もっぱらタッチラグビー。
何がすごいって子供や女の子、プレーヤーの奥さんまで参加しての練習。
しかもみんなスクリューパスを投げることができることにビックリし、改めてラグビーがこの国でどれぐらい
人気なのかということを知った。


 
シーズンインは1月30日からで、自分がチームに合流したのは2月16からだった。
ワイカト大学RFCは北島のハミルトンにある国立大学で元チームメイトのべェーヴァン・トンプソンが所属、卒業した大学だ。
毎年、NPC、スーパー14、NZU(学生NZ代表)に選手を送り込んでいる。
開幕戦は3月18日で、それまではプレシーズンとなっていて、フィットネスがメインの練習が行われた。 
内容は90Mダッシュ×10 400Mダッシュ×6 200M×6 1500M×1。
これが週3回・・・さすがに肉離れチックになってしまった。
開幕戦の2週間前からはコンタクトとディフェンス練習に時間を費やした。
BKコーチで監督のポール・キングは毎回のように「声でディフェンスをしろ!!」と言う。
セットやブレイクダウンからボールを展開されたときに声を出しながらDFすることで穴をうめていくという
当たり前のことだが最も基本的なことだった。そして選手に考えさせること。
よく練習中にプレーを止められる事がよくあった。
失敗したときだけだなく、成功したときもプレーを止め選手に「今のプレーがなぜ悪かったか?」「今のプレーがなぜよかったのか?」を聞く。
それに対してプレーヤーは正確に答えていることにとても驚いた。
クラブチームとはいえ一人一人が考えながらラグビーをしている、日本のトップチームが要求されるようなことをだ。
選手だけでなくコーチ陣ももっとラグビーを勉強するべきだと感じた。

ワイカト大学RFCはワイカト州リーグ(12チーム)に属しているチーム。
ライバルチームにはスコット・マクラウド(東芝ブレイブルーパス)が所属していた
ハミルトンオールドボーイズや、オールブラックスのSHバイロン・ケラハーが所属するフレイザーテックRFCなどの強豪チームが存在する。
NZのラグビー選手はそれぞれクラブチームに所属しておりNPCやスーパー14のシーズン前はクラブチームの練習に参加することもあるので
トッププレーヤーとの距離がとても近いのが印象的だった。
NZのシーズンは2月に始まり、3月~7月までがクラブチームのリーグ戦やスーパー14、7月~10月末までがNPC(NZ国内ラグビー選手権)
そしてシーズンの締めくくりとなるオールブラックス欧州遠征(11月~末)で一年が終わる。
ワイカト大学RFC(以下WURFC)は3月18日に開幕戦を迎えた。プレミア(1軍)の試合は午後2時からで
ジュニア(2軍)の試合は12時に始まるのがNZのスタイルだ。
開幕戦はジュニアでのスタートだったが22人に入ることができずに遠征には参加しなかった。
結果は10-31の敗戦。試合に出場できなかったうえに22人にも入れなかったが、このことが自分の練習に対する姿勢を変えてくれた。
シーズン前の練習で仲間ともコミニケーションがとれなかった自分は「プレーの積極性に欠ける」ということで22人から外されていた。
ここで初めて自分に「悔しい!!」という気持ちが出はじめ、練習にも熱が入るようになっていた。
WURFCは火曜日と木曜日が練習日で土曜日が試合になっていて、木曜日にその週の試合のスタメンが発表される。
火曜日の練習でポジション争いをしているジョーダンが膝を負傷、思ってもない形でアピールのチャンスが転がり込んできた。

第2戦 ハミルトンオールドボーイズ戦

今回もジュニアでの出場だった。が、今回はスタメン、嫌でもテンションは上がる。自分の夢の舞台だった。
やっとここまで来れたという気持ちが大きく、武者震いにも似た震えを感じた。
相手は昨シーズンの優勝チームでリーグ1の強豪、サイズも経験のうちより上の相手、予想通り試合は劣勢にたたされた。
何度タックルをしてもボールを繋がれる、BKの様に走るPRにゲインラインを何度も切られ、100kg以上あるCTBには4トライを謙譲、日本では経験したこと無い世界だった。
ひたすらタックルをし続けたが、後半15分に途中交代でベンチへ下げられた。試合結果は15-50で敗戦。
試合後、コーチからの「ナイスタックル!次の試合も頼むぞ。」という言葉が今でも忘れられない。
大敗の中にも得るものがあった。それは「どんなに大きな相手でも低いタックルなら必ず止めることができる」ということだ。

 

NZではグラウンドとバー(飲み屋?)の数は比例する。NZのクラブチームはホームグラウンドとホームバーをそれぞれに持っている。
そのため、試合終了後にはホームチームのバーでアフターファンクションが開かれる。
服装はブレザーにネクタイ。内容は両チームのキャプテンからのコメント、試合を担当したレフリーからのコメント、試合のMVPの発表など
2時間ほどかけてビールを飲みながら相手チームの選手やコーチと話をする。
この行事はもっと日本でも定着させるべきだと感じた。(実際にバーを持つことは難しいが・・・。)
昨年、日本はラグビーW杯の開催地を逃した。ある雑誌で読んだのだが、「各国のメディアが試合後の記事を書くのにバーを使用する。
しかし日本ではファミレスに集まり記事を書いている。」実際、スポーツバーでお酒を飲みながら見るスポーツといえば日本ではサッカーにんる。
ラグビーW杯を招致したいのならラグビーをマイナースポーツからメジャースポーツに変えていくと共に、日本のラグビー自体が強くならなければならないと思う。
こんな出来事があった。自分がNZに滞在していたとき、たくさんの日本人旅行者に会った。
会話には必ず「何の目的でNZに来ているの?」という言葉がよく出る。自分はラグビーをしに来ているのだからそのことを伝える。
日本からNZにラグビーをしに来ていると言っただけで「すごい!!」なんて言われてしまうこともある。
「NZにきてラグビーを好きになりました。」という人もたくさんいる。しかしそのほとんどの人が日本でラグビーを見たことがなかった。
そういう人達が日本に帰ってもラグビーの試合を見に来てくれるだろうか。
今年から始まった「パシフィック5ネーションズ」は日本、サモア、トンガ、フィジー、NZの5ヶ国で優勝争うリーグ戦だ。
もちろんNZでも放送があった。日本対トンガ、日本対NZの試合はスポーツバーで多くの日本人が観戦していた。
NZ戦は善戦したが、トンガ戦は思わぬ大敗・・・。見ていた人達からは「弱すぎる・・・。」「恥ずかしい」など、聞くに堪えない言葉が聴こえてきた。
やはり代表は強くなければいけないのだ。代表が強くなれば日本のラグビーも人気が出てくるのではないかと思う。

 

ニュージーランドから帰国し、1年が経ちました。今思うことは自身のラグビー人生の中で後にも先にも1番いい経験ができたということだと思います。
ラグビー王国でプレーできたこと、NPC、スーパー14の試合やオールブラックスのテストマッチを観戦できたことなど
ある意味五感を使ってニュージーランドのラグビーに触れることができました。
もちろん楽しいことだけではなく、チームメイトと思うようにコミニュケーションがとれずにミスをすることや、試合に出ることすらできないときもありました。
そんな中でも腐らずにやってこれたのは日本で頑張っているATERUIの存在がありました。自分はシーズン半ばでNZに渡りましたがそんな中でも県リーグ優勝を達成してくれたことや
ホームページを通じてみんなの頑張りが伝わってきたからこそ自分も頑張ることができました。
今回の留学で自分自身にとても自信がつきました。それはタックルやコンタクトの技術面でもそうですが、始めにも書いたようにラグビー王国でプレーしてきたという精神面での成長が大きいと思います。
4回にわたってNZのレポートを書いてきましたが今回で最後になります。かなり不定期で申し訳ありませんでした。
最後まで読んでいただいたことを嬉しく思います。ありがとうございました。
最後に自分の留学先であるWaikatio university RFCのホームページとワイカトラグビー協会のホームページのURLを載せておきます。
できることならもう一度NZに行きたい後藤でした。

Waikato University RFC
http://www.uwsport.org.nz/index.cfm?clubId=8

ワイカトラグビー協会
http://www.mooloo.co.nz/

後藤から届いた写真はこちら
http://photozou.jp/photo/list/167530/997694

コメント

名前:
Eメールアドレス:
コメント:
ファイル

画像の英字5文字を入力して下さい。:
パスワード: